いいよ?好きなんだし

末澤くん、Funky8、妄想

大阪浪漫飛行物語 #1

seiya.s

 

 

「今からめちゃくちゃ重い話をします」

 

 

 

と、2ヶ月ぶりに会った彼女は、俺と向かい合って座り出した。

 

『ん?』

「誠也はなんにも悪くないからね」

「わたしが勝手に思っちゃってるだけだから」

 

うつむきながら話す彼女の言ってることはいまいち理解できない。

 

『ごめん全然なんの話か分からへんねんけど』

「うん、分からへんに決まってる」

 

普段標準語で話す彼女は、たまに俺の話す関西弁につられることがある。それが好きだったりする。本人には言ったことないけど。

 

俺は関西、彼女は関東。世間ではこれを遠距離恋愛と言うのだろう。連絡はほぼ毎日取りあってる。電話もたまにする。もっとたまに、会う。その“たまに”会うのが今日で、いつもうるさいくらい元気な彼女の、こんなにもトーンの低い声を聞くのはもっともっと“たまに”、いや、初めてかもしれない。

 

『関西弁つられてんで』

「……」

『え、おーい、聞いとる?』

「嫌いになりたい」

『え?』

「誠也のこと嫌いになりたい」

 

本当に理解ができなかった。一体彼女は何を言っているのか。

 

「全然会えないのに、誰かと話してたら関西弁まざってるし、やたらいちごに目がいくし、誠也の好きなブランドの服着てる人がいたら見ちゃうし」

「もう誠也のことなんか嫌いになりたいよ」

 

 

大好きな人から、“嫌い”という単語を何回も何回も言われてるのに、口角が上がってしまいそうになるのは何故だろうか。

 

『……なんかそれ、好きって聞こえるねんけど』

「……バカじゃないの」

 

俯いたまま目元を指で触る彼女の声は少し震えていて、気付いたらそんな彼女を抱きしめていて。

 

 

 

『なあ、一緒に暮らさへん?』

 

 

もっと俺につられて関西弁話したらええねん。